AIはサイトで何をしている?520万セッションが示す計測の課題
チェックアウトの記録を「AIが購入した」と読まない。人への引き継ぎまで含む調査。
Microsoft ClarityがAIエージェント関連のセッションを分析。フォームやチェックアウトなどの行動を報告し、専用ダッシュボードも案内した。
520万件でも読めないこと
Microsoft Clarityは2026年10月29日、AIエージェントが関わる520万件超のセッションを調べた結果を公開した。対象は同年8月13日から9月9日までの23万件超のClarityプロジェクト。チェックアウトやフォーム送信など、情報を読む以外の操作も観測された。ただし、同社はAIと人の操作を同じセッション内で分離できないと説明する。数字は、AIが単独で購入や予約を完了した証拠ではない。
購入率との混同を避ける
この区別はマーケティング施策を考えるうえで重要だ。AIが候補を探し、人が支払い画面を操作した場合も、エージェントが関わった訪問として記録されうる。また、チェックアウト画面に到達したことと、決済が完了したことは別である。公開表の割合を、そのまま一般的なECの購入率として使うのも避けたい。対象サイトやイベント定義が違えば、比較の意味も変わるからだ。
流入・行動・成果を分ける
ここからは編集部の提案として、自社の計測を三段階に分けたい。第一に、どこから来た訪問か。第二に、商品比較、空き状況確認、フォーム入力など何をしたか。第三に、購入や問い合わせが実際に成立したか。この三つを区別して記録すると、「AIから来る人が増えた」という話と「事業成果が増えた」という話を混ぜずに済む。注文管理などの確定データと照合することも役立つ。
人にも使いやすい導線へ
改善の対象も、文章の読みやすさに限られない。価格条件を探すために何度もページを往復している、予約可能な日が読み取れない、入力エラーの理由が分からない。こうした箇所は、AIにも人にも作業を難しくする可能性がある。エージェントのためだけに特別な導線を増やす前に、既存の操作で何が障害になっているかを調べる方が、幅広い利用者に効く改善につながる。
数字の差を説明できるか
さらに、分析画面の値と注文管理の値が合わない場合に、どこから調べるかを決めておきたい。重複したイベント、計測できない画面、人への引き継ぎなどを分けて確認する。観測の限界を残したままでも、その限界を説明できれば施策の判断はしやすくなる。
同じ定義で継続観測
今回の調査は、AI時代のWeb解析に新しい問いを投げかける資料だ。一方で、調査対象全体を自社の顧客に当てはめたり、特定モデルの優劣を結論づけたりする根拠にはならない。まず自社でイベント名と完了条件を揃え、同じ期間、同じ定義で推移を見る。派手な割合よりも、計測できていない区間を見つけることが、実務で得られる大きな価値だ。
出典と日付
- 情報元
- Microsoft Clarity
- 発表・公開日
- 2026.10.29
- 本サイト掲載日
掲載日は本サイトで取り上げた日です。発表・公開日とは異なります。最新の仕様や利用条件は出典先をご確認ください。